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2006年 01月 31日
「ブロークバック・マウンテン」日本公開は3月4日から akaboshi ブログで紹介された「Brokeback Mountain」 先週からシドニーでも公開されてまして、観てきました。 アート系の映画館でなく、ふつうの大作ロードショーの映画館。指定も「M」と、ゆるやか。火曜日は映画が8ドルで観られる日ということで、昼過ぎという時間にも関わらず、映画館はほぼ満席でした。オバさんグループ、老夫婦、若い女性グループ、ゲイカップル、子供連れ、肉体労働者風のおっさん、ありとあらゆる観客層。こういうところ、シドニーはすごいかも。 前評判はほとんど見ないで、唯一土曜日に観てきた友達の強いお勧めがあったくらい。 Ang Lee監督といえば93年の「The Wedding Banquet」でゲイをほのぼのと描いてましたが、これはシリアス。 舞台は60年代から80年代にかけての北米。ふたりのカウボーイの交流を描いた映画ですが、自然の美しさと主役のふたりのおさえにおさえた演技がすばらしい、ゲイをモチーフにした映画史上に確実に残る名作です。 以下「ネタばれ」まではありませんが、かる〜くストーリーにふれた箇所あります。 その旨ご承知の上、お読み下さい。 ユタ州の映画館で保守派のオーナーの意向で上映寸前に中止になったという話ですが、さもありなん。決して目を覆うほど露骨な性描写のシーンはないんですけどね。(あるという記事も読みましたが、あれは嘘です!いまどきの米国のTVドラマの方がよっぽど際どい)ぜんぜん違う意味でこの映画はかなりアグレッシブです。そこを賞賛したい。 保守派の人たちはむしろゲイが「ゲイらしく」女装をしたりオネエ言葉で騒いだり、興味の有ることはセックスだけというステレオタイプ化された姿で描かれている映画なら、それがどんなに過激であっても看過してしまうのではないでしょうか。この映画は今まで「ごくフツー」の人間としてのゲイを描いた作品の中でも、だんとつで、「フツー」の男を描いてるんです。 しかも「カウボーイ」です。 もちろんかの有名なヴィレッジ・ピープルの中にもカウボーイの扮装のメンバーがいましたし、マルボロ・マンというキャラなんかがもつ男臭さも、かなりゲイがよろこぶ誇張された男らしさ・色気を体現してるところがあった。でもこの映画、純で朴訥で無口で女扱いもうまくない色気とは無縁の、ほんとうに普通のカウボーイなんですよね。ゲイとそうでない男性の境界に肉薄してるんです。 さらに、そこに展開される「友情」を少し越えたところにある強いお互いへの吸引力。このふたりは20年も、そういう関係を育んでしまう。 これははっきり言ってヤバい。保守派の人にとってはヤバいんです。 ゲイが「特殊」で有る限り、対象が見極めやすい。対抗も禁止もしやすい。そうでないってことはかなりな脅威のはず。 で、そういう北米。 50年ほど前は白人と黒人が結婚したために投獄されたような国です。今だって同じようなことは起きている。そんなところで60年代のワイオミングの田舎で、まともな同性愛関係を築けるはずも無く、同性愛だったためにリンチを受け死んだ男の話も出てくるし、主人公の苦境は察するに難くない。 男同士の関係に思いきって踏み込むことができず、かといって妻子と幸せな家庭を築くこともできないエニス。彼の生き方は身につまされてしまいます。ジャックを愛しながら自分を受け入れることができない。何が不幸かって、世間の風が冷たいことではない。自分のことを受け入れられないことが、いちばんの不幸なのですね。 エニスの葛藤や絶望やあきらめ、ジャックの愛、そういうものを説明を一切排したストーリーの中に描ききっていて、見事な映画でした。このポスターもうつむいたふたりが向かい合うでもなく斜め加減によりそっているのが、ストーリーの色をあらわしていて、とてもよい。 この映画を強く勧めてくれたフォトグラファーの女友達(40代イギリス人)も言っていたのですが、「同性・異性をとわない、人間同士の愛の物語」、万人の涙を誘う悲恋。そこがまた保守派にとっては困るところなのでしょう。 ☆五つ。 追記① 2月1日朝のニュースを見ていたら この映画8つのカテゴリーでオスカーにノミネートということ!快哉! ここ数年あまり興味の無かったこのイベント、今年はしっかりチェックします!
by nico
| 2006-01-31 16:07
| 映画・オペラなど
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